会議を終えた職員の手元に、録音ファイルが1つ残る。日本はその後の整理と翻訳をAIエージェントに任せる。2026年10月26日、時事通信がnippon.com経由で報じたところによると、デジタル庁は政府専用の生成AI基盤「ガバメントAI 源内(Gennai)」にAIエージェント環境を提供している。対象は約18万人の政府職員である。
1つの指示で複数の工程をつなぐ
チャット画面で生成AIを使う場合、工程ごとに指示を出すのが通常である。AIエージェントでは、利用者が自然言語で方向を伝えると、エージェントが続きを進める。デジタル庁は、複数の作業をまとめて任せられると説明している。

- 会議音声を読み込む
- 内容を整理する
- 文書として出力する
報道で挙げられた例は会議の録音である。職員が音声ファイルをアップロードすると、エージェントが議事録を準備し、翻訳する。
デジタル庁は、約18万人規模で、一般職員が日常業務で使える政府共通基盤の中に高度なAIエージェント環境を提供するのは、世界初の取り組みだとしている。
基盤には約40の公務向けアプリ
源内には約40のアプリがある。同僚とのチャット、文書や議事録の作成、文書の翻訳と要約、国会答弁の検索、法令調査、音声の文字起こしなどである。

デジタル庁の導入編では、職員が自然言語で複数の作業手順を組み立て、スキルを保存して後で使えると紹介している。作業手順は再利用できるスキルに整理できるため、日常の仕事を繰り返し進めやすくなる。
段階的に導入し、来年にオープンソース版を公開予定
デジタル庁が公表した日程は次のとおり。

- 2026年10月20日から:各府省庁に「エージェントチャット(Agent Chat)」を順次導入する。
- 2026年12月ごろ:「源内工房」の導入を目指す。高度なエージェントとして、コードの生成・修正、ファイル操作、コマンド実行、Web上のディープリサーチ、プロトタイプ開発を提供する。
- 2027年2月ごろ:「源内OSS Ver.2.0」を公開予定で、地方公共団体や民間事業者などが利用できる。
源内基準:職員はAI生成内容を確認する
同じ2026年10月20日、デジタル庁は「源内基準」を公表した。基準は利用者、管理者、開発者の役割に分かれており、利用者に対して職員はAI生成内容を確認することを求めている。エージェントは自分で作業を進められるが、出力された結果は利用者が確認する。
臺灣が参考にできる方向
臺灣にはすでに多様な土台があり、日本の取り組みと見比べることができる。

- 利用ガイドライン:臺灣の行政院は2023年8月に「行政院及び所属機関(構)における生成AI利用参考ガイドライン」を定めた。原則には、責任、信頼性、安全、プライバシー、データガバナンス、説明責任が含まれる。
- テスト環境:臺灣デジタル発展部(MODA)は「政府AI応用実験ステーション(TryAI)」を設け、政府機関がモデルのテストや評価、アプリ開発を行えるようにしている。TAIDE、オープンソース、商用を含む32種類以上の言語モデルがそろう。選択肢が多様なため、各機関が業務に合わせて選べる。
- 地域モデル:臺灣国家科学及技術委員会(NSTC)は、信頼できる生成AIの発展を推進する計画「TAIDE」を進めている。TAIDEモデルは要約、手紙や文章の作成、英語から中国語への翻訳など、日常業務を支援する。
- コーパスとハンドブック:MODAは『公部門人工知能応用参考ハンドブック』を公表し、AI導入の流れ、データガバナンス、成果評価などの実務情報を提供している。
日本の段階的な導入は、日常文書、高度な調査、オープンソース利用を計画する際の参考になる。臺灣も多様なモデル、地域のデータ、実務向けの手引きを生かし、各機関の業務に応じて活用を広げられる。

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