内政部国土測絵センターは2026年10月20日、「114年及115年多維度空間資訊基礎圖資測製工作採購案」の第1弾成果の提供を開始したと発表しました。2025年(114年)に航空撮影し、2026年(115年)に図化したもので、次の2種類です。

  • 1/1000地形図(オルソ画像付き):全国8か所の都市計画区で、ベクターデータ331図葉とオルソ画像331図葉。
  • 3D実景画像メッシュモデル:19か所の都市計画区。

今回の成果は申請に基づく有償提供の測量成果で、無料ダウンロードのオープンデータには含まれません。現在はファクス、郵送、販売窓口で申請でき、2026年10月30日からは「國土測繪圖資e商城」でオンライン購入もできます。

第1弾成果の料金と申請方法

料金は「國土測繪成果資料收費標準」に基づき、非付加価値型と付加価値型の2段階です。同基準では、付加価値型とは、データを改変・編集した製品や派生物、または著作物に付加したものを、営利目的で有償提供し、公開の形で配布・発行する用途を指します。国土測絵センターの料金表は次の通りです。

大判の地形図プリント
大判の地形図プリント(AI生成イメージ)
  • 1/1000地形図数値データ(オルソ画像なし):1図葉あたり非付加価値型3,000臺灣ドル、付加価値型6,000臺灣ドル。SHP、DWG、JPG出力ファイルの3形式を含みます。
  • 1/1000地形図オルソ画像:1図葉あたり非付加価値型1,500臺灣ドル、付加価値型4,500臺灣ドル。
  • 上記2項目は、図面に占めるデータ範囲が2分の1未満の場合、50%の料金です。
  • 3D実景画像メッシュモデル:1ヘクタールあたり非付加価値型40臺灣ドル、付加価値型80臺灣ドルで、都市計画区単位で提供されます。
  • 1/1000地形図の紙図(A0):1枚500臺灣ドル。

学術機関は公文書で申請すれば料金の減額を受けられます。

1/1000地形図と3Dメッシュとは

縮尺1/1000では、地図上の1センチが実際の10メートルにあたります。建物の輪郭、道路の縁、歩道などの細かい地物まで描けるため、都市計画や工事設計に使われます。オルソ画像は、地形の起伏や撮影角度による歪みを補正した航空写真で、地図と同じように距離や面積を測れます。

航空写真は地形図とメッシュの元データ
航空写真は地形図とメッシュの元データ(AI生成イメージ)

3D実景画像メッシュモデルは、大量に重なり合う航空写真から地表と建物の立体形状を計算し、その表面に写真を貼り付けたものです。回転や拡大ができる写真のような立体都市で、屋根、壁面、樹木、地形が一つのモデルに入っています。国土測絵センターが2025年8月に前回のメッシュを提供した際は、3MX、I3S、3D Tilesといった一般的な3D形式でした。

112〜116年の多次元基盤データ計画

今回の成果は、国土測絵センターの「多維度空間資訊基礎圖資測製及更新計畫(112-116年)」によるもので、行政院が2022年11月11日に承認しました。背景として、内政部は1998〜2013年に都市計画区の1/1000地形図を整備しましたが、その後は継続的な更新予算がなく、多くの地図が現況を反映できなくなっていました。

地上の測量基準点作業
地上の測量基準点作業(AI生成イメージ)

計画の目標は1/1000地形図と3Dメッシュモデルをそれぞれ16.32万ヘクタール、LOD2建物モデルを1.632万ヘクタール、LOD3建物モデルを800棟です。LODは3D建物モデルの詳細度で、LOD2は屋根の形状を持ち、LOD3はさらに窓やバルコニーなど外観の細部を加えたものです。計画は「1年目に航空撮影、2年目に図化・モデル化」というサイクルで進むため、114年に撮影した範囲が115年に順次図化されています。国土測絵センターは2026年10月6日に成果発表会を開き、172人が参加しました。

デジタルツインの基盤データとして

デジタルツインは、実際の都市の形や状態をコンピューター上に再現し、計画、シミュレーション、管理をまずモデル上で試せるようにする考え方です。そのためには、正確で継続的に更新される地形・建物・画像のデータが土台になります。国土測絵センターは、目標を「都市部の完全かつ最新の多次元国家基盤地図」の構築とし、各省庁の都市計画、土地区画整理、公共管路、防災、土木、水利、交通などの業務で、空間分析、公共施設計画、土地活用シミュレーションに使えるとしています。

実際の街並みとデジタルモデル
実際の街並みとデジタルモデル(AI生成イメージ)

実際の活用例として、8月に公開された建築物屋根の太陽光発電ポテンシャル3D検索サービスがあります。「多維度國家空間資訊服務平臺」のデータを使って屋根ごとの日照と影を計算しています。詳しくは当サイトの「住所で屋根の太陽光ポテンシャル検索:3D建物と日照計算」をご覧ください。

有償購入とオンライン地図サービスの違い

国土測絵センターのデータ提供には主に二つの経路があり、用途と費用が異なります。

パソコンでオンライン地図サービスを閲覧
パソコンでオンライン地図サービスを閲覧(AI生成イメージ)
  • 國土測繪圖資e商城:データファイルや紙図を購入する窓口です。今回の1/1000地形図やメッシュのように、ダウンロードしてオフラインで使えるデータが手に入ります。e商城にはオープンデータのダウンロード欄もあり、経建版地形図の数値ファイルや行政界などが公開されています。
  • 國土測繪圖資服務雲(maps.nlsc.gov.tw):レイヤーをウェブサービスとして提供します。利用者のシステムはOGC標準のWMSやWMTSで接続して地図をその場で表示し、データ自体は国土測絵センターのサーバーに置かれたままです。WMSはリクエストごとに地図画像を生成し、WMTSはあらかじめ切り分けたタイルを配信するため表示が速くなります。臺灣通用電子地図、国土利用現況、基本地形図、オルソ画像などのレイヤーは申請なしで接続できます。

国土測絵センターの提供表によると、服務雲のWMS・WMTSと、多維度國家空間資訊服務平臺の3D建物・道路モデルのI3S・3D Tilesサービスは「非付加価値型」の利用許諾に分類され、オープンデータとされているのは縮尺1/18,000より小さい臺灣通用電子地図のサービスだけです。地籍図サービス、住所ジオコーディング、経路検索など一部のAPIは別途申請や契約が必要です。

簡単に言えば、ウェブサイトやシステムで背景地図を表示したいならまず服務雲を、ファイルを入手して編集・計測・3D解析をしたいならe商城で購入する、という使い分けになります。

臺灣が参考にできる方向

  • 範囲を確認してから申請:第1弾は地形図が8都市計画区、メッシュが19都市計画区のみです。国土測絵センターのウェブサイトに範囲と図葉リストがあるので、まず自分の計画区域と照合できます。
  • 付加価値型の区分に注意:データを編集して製品として有償で発行する場合は付加価値型の料金になります。非付加価値型で申請した後に付加価値利用へ切り替える場合は差額の支払いが必要です。
  • メッシュと建物モデルを組み合わせる:メッシュは実景に近く、表示や目視判読に向きます。LOD建物モデルは棟ごとの属性を持ち、統計や分析に向きます。
  • 次の弾と更新サイクルに注目:計画は116年まで続きます。デジタルツインには更新され続ける基盤地図が必要で、今後の提供と計画終了後の更新体制が、このデータの使える期間を左右します。

出典