2026 年の夏、米国のカリフォルニア州とテキサス州の電力網は、猛暑、冷房、データセンターに直面しました。電力使用量は増えましたが、卸電力価格は下がりました。米国太陽エネルギー産業協会(Solar Energy Industries Association、SEIA)は、この変化を過去 5 年に増えた太陽光発電と蓄電池に結び付けています。
この話は、業界メディア『Renewable Energy World』が 2026 年 10 月 26 日に掲載した記事と、『EnergyTech』が 10 月 23 日に掲載した特集に基づきます。以下、数字、背景、最後に臺灣の順で説明します。
2 州の夏の卸電力価格が 4 割下落
SEIA は、2026 年と 2021 年の 6 月から 8 月を比較しました。

- カリフォルニア独立系統運用者(California Independent System Operator、CAISO)の管内では、電力使用量が 2.5% 増えました。インフレ調整後、卸電力の平均価格は 40% 下落しました。
- テキサス電気信頼性評議会(Electric Reliability Council of Texas、ERCOT)の管内では、電力使用量が 30.1% 増えました。記事は、データセンターと猛暑時の冷房が関係していると伝えています。インフレ調整後、卸電力の平均価格は 42% 下落しました。
- SEIA の試算では、テキサス州が 35.5 億ドル、カリフォルニア州が 25 億ドルを節約しました。2 州の合計は60 億ドル超の節約です。
5 年で導入量が大きく増加
2021 年から 2026 年にかけて、テキサス州の太陽光発電量は 421%、カリフォルニア州は 90% 増えました。蓄電池の容量はさらに大きく伸び、テキサス州は 26 倍超に増加し、カリフォルニア州は約 7 倍になりました。

蓄電池の役割は具体的です。昼は太陽光発電が多く、蓄電池が余った電気をためます。夕方に需要が高まると、蓄電池が放電します。
SEIA の Tim Pawlenty 最高経営責任者は、中間選挙が近づくなか、手頃で信頼できる電力は党派を超えた優先事項だと述べました。
仮想発電所と系統投資が同時に進む
記事は、同時に進む複数の計画を挙げています。

- 仮想発電所(Virtual Power Plant、VPP)事業者の Voltus が Google との協業を拡大しました。PJM Interconnection の系統で、1 GW の仮想発電所をつくることが目標です。資源には、住宅や企業の蓄電池、スマートサーモスタット、産業用の調整可能な負荷が含まれます。
- Pivot Energy は、Nuveen Energy Infrastructure Capital と 5 億ドルの企業向け与信枠を結びました。
- 中大陸独立系統運用者(Midcontinent Independent System Operator、MISO)は、見積額約 12.3 億ドルの送電計画の開発チームを選定しました。
- イリノイ州サンドイッチ市には、出力 3.5 MW のコミュニティ太陽光発電所があり、羊が植生を管理しています。
カリフォルニア州の仮想発電所の経験は、当サイトの別の記事も参考になります:カリフォルニア州の仮想発電所とデマンドレスポンスの比較。
5 年で 2 度目のエネルギーの警鐘
『EnergyTech』の特集は、Raymond James & Associates のマネージングディレクター Pavel Molchanov 氏の見方を引いています。同氏は RedChip が主催した Power the Future の会合で、5 年以内に 2 度目のエネルギーの警鐘が鳴ったと語りました。
- 1 度目は 2022 年です。ロシアによるウクライナ侵攻がエネルギー市場を揺さぶりました。
- 2 度目は 2026 年です。米国とイランの衝突で、ホルムズ海峡の航路が妨げられました。
同氏は、米国は世界最大の産油国でありながら、石油価格は世界市場と連動していると指摘しました。天然ガス価格は天候と地政学の影響を受けます。
同氏はまた、太陽光発電所は建設後、資産の寿命の間、電気が基本的に無料になるとも述べました。
次世代技術はそれぞれのペース
特集は、電源ごとの建設期間も比べています。
- 太陽光発電所は、通常数年で建設できます。
- 先進的な原子力は 5 年以上かかります。
- 大型原子炉は 10 年かかることがあります。
米国の NANO Nuclear は、KRONOS MMR を開発しています。高温ガス冷却の超小型炉の設計で、1 基あたりの計画出力は 15 MW、データセンターや産業向けの用地を想定しています。記事によると、米国で稼働中の商業用ウラン転換施設は、イリノイ州の Metropolis Works だけです。
蓄電池の安全性もよく問われます。米国電力研究所(Electric Power Research Institute、EPRI)の集計では、2018 年から 2025 年に、世界の蓄電池の導入量 1 GWh あたりの年間故障率が 98% 下がりました。詳細は当サイトの別の記事をご覧ください:EPRI による世界のリチウムイオン蓄電池の故障率と安全対策。
臺灣が参考にできる方向
臺灣の太陽光発電と蓄電は、さまざまな方向で経験を積んでいます。

- 太陽光発電の土台が固い。臺灣の経済部は、2026 年 2 月末時点の太陽光発電の累積設備容量が 15.68 GW に達したと公表しています。屋根設置型は 10.05 GW で、全体の 64% 超を占め、年平均で約 1.05 GW 増えています。
- 太陽光と蓄電の一体運用に制度の裏付けがある。経済部は『儲能系統結合太陽光電發電設備中華民國一百十一年度競標及容量分配作業要點』を定めており、蓄電した電気を夜間に系統へ送ることを支えています。台湾電力股份有限公司(以下、台湾電力)は、臺南の將軍と七股の塩田で南鹽の太陽光・蓄電所を運営し、20 MW、20 MWh の蓄電システムを備えています。
- 企業が需要側蓄電を設置している。経済部は産業用の需要側蓄電に対し、1 MWh あたり 500 万台湾元の補助を行い、蓄電設備の導入、電力網のレジリエンス、設備の安全性向上を支えています。
- 調整力市場が動いている。台湾電力の電力取引プラットフォームは 2021 年に正式に運用を始め、周波数調整用の予備力(dReg)や強化型の動的調整予備力(E-dReg)などの商品を扱っています。
- 政策指標を継続的に見直している。経済部の『全国電力資源需給報告』は、「再生可能エネルギー設備容量」を随時見直す指標に加えており、再生可能エネルギーの多様化に向かっています。
カリフォルニア州とテキサス州の事例は、電力の調整と供給に異なるやり方があることを示し、比較の材料になります。臺灣には、屋根設置型太陽光発電の規模、実証サイト、補助制度、取引プラットフォームがあります。これらはデータと運用経験を積み重ね、次の段階の多様な電源構成の土台になります。

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