ドイツ連邦環境庁(UBA)は10月7日、ドイツの公共調達公告プラットフォームを通じて、新たな炭素クレジットの入札を公告した。連邦政府の2025年の排出をオフセットするため、パリ協定第6条4項(6.4条)のルールに基づいて生み出された排出削減クレジットを最大1,101,743単位購入するという内容だ。英国の炭素市場専門メディアCarbon Pulseも同日、この入札を報じた。
まず押さえておきたい用語:6.4条クレジットとは?
6.4条メカニズム(PACM):パリ協定クレジットメカニズム。パリ協定の下で国連の監督機関が一元的に管理する炭素クレジットメカニズムで、京都議定書時代の「クリーン開発メカニズム」(CDM)の後継と見なされている。多くの旧CDMプロジェクトが移行を申請している。
オフセット:自らは避けられない排出を、他の場所での削減によって埋め合わせること。ドイツ政府の取り組みは自主的なもので、法的義務ではない。
入札で何を買うのか?
公告によると、今回の調達は11の項目を対象とする。
連邦政府と連邦行政機関の公務出張(連邦が主催するイベントを含む)。
個別機関の「気候中立」計画:連邦環境・気候保護・自然保護・原子力安全省(BMUKN)、連邦経済協力開発省(BMZ)、連邦議会の公務出張、ドイツ連邦銀行の公務出張、連邦核廃棄物処分安全庁(BASE)、連邦放射線防護庁(BfS)、連邦自然保護庁(BfN)、連邦国防省(BMVg)、連邦外務省(AA)、そして連邦環境庁自身。
公告の説明では、出張のオフセット対象は連邦の最高官庁と上級官庁の職員による航空機と公用車での移動の気候影響で、非CO2効果も含む。連邦のイベント(EUや国際的な議長国期間中の会議を含む)もできる限り気候中立とし、参加者の避けられない航空移動の排出はオフセットしなければならない。

なぜ6.4条クレジットだけを買うのか?
ドイツ連邦政府は、2014~2017年の議会会期から公務出張の排出をオフセットしてきた。公告によると、京都議定書の第二約束期間が2020年末に終了したことを受け、政府は2021年以降の排出について京都時代のCDMクレジットを購入するのをやめ、パリ協定に整合するクレジットに切り替えた。ドイツは2022年から、6.4条のルールに適合するクレジットを入札で購入しており、今年も同じ方式を踏襲する。
昨年との比較:昨年の入札(締め切りは2025年11月4日)の上限は795,408単位で、今年は約38.5%増えた。昨年の条件は、プロジェクトがCDMに登録済み(またはCDM理事会により暫定措置に分類済み)で、かつ国連に6.4条への移行を申請していることだった。当時はまだ引き渡せるクレジットがなかったため、引き渡し時期は後ろ倒しにされた。今年の資格要件の詳細は添付の業務仕様書に記載されているが、本サイトはまだ入手しておらず、一つひとつ照合できていない。入札の締め切りも入札書類に従う。
ドイツ排出量取引局(DEHSt)の説明ページによると、これまでに累計約190万トン分のクレジットを購入し、2020年までの各年の排出のオフセットに充ててきた。主にアジアとアフリカの家庭用バイオガスとクックストーブのプロジェクトによるものだ。

本サイトの見方:公的部門がPACMクレジットを「試し買い」している
以下は本サイトとしての読み方である。
買い手としてのシグナル:PACMの最初のクレジットは今年2月に承認されたばかりで、市場はまだ薄い。ドイツ政府が何年も続けて入札し、しかも規模を広げていることは、このメカニズムに安定した公的需要を提供しているに等しい。
品質をめぐる論争は買い手にも及ぶ:ドイツがこれまで買ってきたのは主にクックストーブとバイオガスのクレジットで、クックストーブはまさにPACMで現在最も議論の多い類型だ。国連の監督機関は今週、クックストーブのクレジットに反転リスクのバッファー控除を課すかどうかを議論している(本サイトの研究ノート「国連炭素市場の二つの難題:ベースラインはどれだけ速く下げるべきか、クックストーブのクレジットに「永続性保険」をかけるべきか」で分析)。その結果は、こうした買い手がどれだけのクレジットを買え、いくら支払うことになるかに影響する。
台湾が参考にできること:国内の企業や機関が出張の排出をオフセットしようとするなら、ドイツのやり方は明快なひな型になる。まず範囲をはっきりさせ(航空の非CO2効果を含む)、次にクレジットがどの国際ルールを満たすべきかを指定することだ。航空業界と炭素クレジット需要の関係については、本サイトの「1億7,500万トンの不足:CORSIAの炭素クレジット不足と台湾航空業界の立ち位置」も参照してほしい。
