10月上旬、北海周辺のCO₂貯留で2つの動きがあった。ノルウェーは貯留ライセンスのスケジュールを見直し、英国リバプール湾の洋上貯留事業は大きな工程を終えた。どちらも洋上貯留を排出源とどう組み合わせるかに関わる。
一、ノルウェー:貯留ライセンスに猶予
CO₂貯留サイトの開発は油ガス田に似ている。政府がライセンスを出し、事業者は作業計画の期限内に探査、掘削、投資判断を進める。
EnergyWatchは10月9日、ノルウェーのエネルギー相が貯留開発事業者に猶予を与えると報じた。欧州の排出源がCO₂を供給できるようになるまで、新たな貯留容量を急ぐ必要はないという考えである。[1] 報道によると、EquinorはØygardenのNorthern Lightsを満たしてから新規案件に進みたい意向で、9月には北海の貯留案件について探査井の判断を3年延ばすよう申請している。[1][2]
これに先立ち、ノルウェーエネルギー省は2026年3月、貯留規則の改正案を6月5日まで意見公募にかけた。探査ライセンスと開発ライセンスを統合し、探査から開発、操業までを1つのライセンスでカバーする。作業計画には節目を設け、事業者が各段階で継続か返上かを決める。[3][4] 石油ライセンス制度に近い仕組みである。
背景には、2030年までに年5,000万トン以上のCO₂圧入能力を求めるEUのネットゼロ産業法がある。EUは石油・ガス事業者に大規模な貯留容量の整備も求めている。[1][5] ノルウェーは、貯留サイトの整備を回収事業の実際の進み具合に合わせる方針をとっている。

二、英国:Douglas CCSプラットフォームを設置
EniとBlackRock傘下のGlobal Infrastructure Partnersの合弁会社Eni CCUS Holdingは10月8日、リバプール湾でDouglas CCSプラットフォームの設置を終えたと発表した。Eniによると、産業脱炭素のCCS専用に建造された洋上プラットフォームとして世界初である。[6]
このプラットフォームは、英国北西部の産業クラスターHyNetを支えるリバプール湾CO₂輸送・貯留システムの洋上ハブとなる。イングランド北西部と北ウェールズの工場で回収したCO₂を受け入れ、CO₂用に転用した既存の海底パイプラインで枯渇ガス田へ送り、恒久貯留する。[6]
主な数字は次のとおり。[6][7]
- 契約から引き渡しまで18か月未満。
- 上部構造1,885トン、ジャケット1,755トン、総重量730トンの基礎杭8本。
- リバプール湾CCSネットワーク全体の完成度は約50%。
- 投資額の約60%が英国内のサプライチェーンに回り、建設期間に2,000人以上、25年以上の操業期間に約200〜300人の長期雇用を支える。
decarbonfuseがまとめた工程表では、CO₂の初圧入は2028年の見込みである。[8]

三、台湾が参考にできる方向
- 節目付きのライセンス制度:ノルウェーの単一ライセンスと節目の組み合わせは、排出源の進捗に合わせて段階的に進められ、政府も定期的に確認できる。
- 既存の油ガス設備の再利用:リバプール湾は既存ガスパイプラインを転用し、枯渇ガス田を貯留に使う。台湾近海の開発済みガス田とパイプラインでも同様の活用を検討できる。
- 産業クラスター単位で計画する:HyNetは地域の複数の排出源が1つの輸送・貯留システムを共用する。台湾の沿岸工業区でも参考にできる。

参考文献
- EnergyWatch, Norway to give CO₂ storage developers more time as carbon capture stalls (2026-10-09). https://energywatch.com/EnergyNews/ccs/article19719788.ece
- EnergyWatch, Equinor asks for process extension on CO2 storage project in the North Sea (2026-09-04). https://energywatch.com/EnergyNews/Oil___Gas/article19611213.ece
- ノルウェー・エネルギー省, Høring – forslag til endringer i lagringsforskriften (2026-03-09). https://www.regjeringen.no/no/dokumenter/horing-forslag-til-endringer-i-lagringsforskriften/id3151621/
- Thommessen, The Ministry of Energy proposes amendments to the Storage Regulations. https://www.thommessen.no/en/news/the-ministry-of-energy-proposes-amendments-to-the-storage-regulations
- ccs.tw「EU、CCS商用化前試験に約1.2億ユーロ」。https://ccs.tw/notes/eu-ccs-precommercial
- Eni, Eni CCUS Holding: Liverpool Bay CCS completes the installation of the world's first offshore platform dedicated to CO₂ transportation and storage (2026-10-08). https://www.eni.com/en-IT/media/press-release/2026/10/eni-ccus-holding-liverpool-bay-ccs.html
- Oil & Gas Journal, Eni CCUS Holding completes CCS platform installation (2026-10-08). https://www.ogj.com/energy-transition/news/55410615/eni-ccus-holding-completes-ccs-platform-installation
- decarbonfuse, Eni's Douglas Platform Sets the Offshore CCS Blueprint. https://decarbonfuse.com/posts/eni-s-douglas-platform-sets-the-offshore-ccs-blueprint

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